売れない理由

その家に住むと、夜な夜などこからか女のすすり泣く声が聞こえてくる。
故にいつまでも売れないのだ…

という話をしていたら、サークルの新メンバーが、近くにある事故物件を知っているというので、興味本位で出かけることにした。
そいつ曰く、
「元は金持ちじーさんが酔狂で建てた家なんだって。でもさあ、そのじーさん、実は詐欺まがいのことしてて、しかも巨額の脱税まで発覚してとっ捕まってさ。で、本人は獄中で病死。お国も買い手探してるみたいだけど見つかんないだって。お前らどう？」
「いくら安くても大学生が家なんか買えるかよ〜」
なんて笑いながら車で走ること約一時間。
「これだよ」
「これって…」
現物を目の前に、俺たち4人は絶句。案内人だけがニコニコしながら、
「こんなにすごくてたったの100万円だぜ！どう？」
「「「「誰が買うかよ！！！！」」」」
それは、全面ガラス張りのオールスケルトンの家…だった…