スーパームーン

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月が地球に近づいて、いつもより大きく見えるスーパームーン。

年々、スーパームーンは巨大化していった。やがて、ウサギが餅をつく様子も地上から克明にわかるようになった。

それでも巨大化は止まらなかった。月と地球が衝突する、遂にその時を迎えた。

ゴォォォーッ。

危ない、地球も月も粉々に砕け散ってしまう!

あれ?

月と地球はぺたっとくっついた。砕け散るどころか、ささいな地割れすら起きずに。

ウサギが地道に、ついてこねてを繰り返した餅が、クッションと接着剤の役割を果たしたのだった。

二つの星が一つになって生まれた、雪だるまみたいな新しい星。

雪国で子どもたちがこしらえる本物の雪だるまを、ウサギが月からふと眺めて、そうか、そうすればいいんだと閃いたのだという。

いまそこにある危機を救った、昔ながらの子ども遊び。

雪だるまの星で、みんな、穏やかに暮らした。

月のウサギのおとぎ話。
ファンタジー
公開:20/12/02 17:58

ふみなか( 東京 )

40代半ばの会社員。家族は妻、中3息子、小6娘。つらつらと文章をつづるのが好きです。読んでいただけたら嬉しいです。

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