作家の妻

　男はベッドの中でシーツを掴み、玉のような汗を流しながらもだえ苦しんでいた。その光景見て、彼の妻は慌てて彼を起こした。すると彼は「なんで起こしたんだ？　とても恐ろしい夢を見ていたのに！」と妻を怒鳴った。

　私の名は史恵。主婦で、夫と二人の子持ち。でも子供達は今の夫の子供じゃなくて、前夫の間に作ったの。前夫ったらホントに駄目な奴でさ、私、何であんな奴と結婚しちゃったのかしら？
　それでね、ある日知り合いの男性が「じゃぁもう別れたら？」なんて言うから、子供を連れて出て行っちゃった。その時の男性が今の夫。
　でも今の夫はなんで子連れのしかも１０歳も年増の私なんかと一緒になったかしら？
　まぁ私には丁度良かったんだけどね。でも今の夫も相当変わっているの。

　その後、史恵の夫はあの時の恐ろしい夢を物語に記す。そしてその話は、出版から120年以上経った今でも、世界中の読者に恐怖を与えている。