ちょっと早いけど、満月の下でさよなら

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このセーターを着ることももう数えるほどしかないのかと、ハンガーにかけながら思った。
六年間通ってきた学校ともお別れだ。入学した時は時間なんて無限にあると思っていた。早く大人になりたいなーとずっとぼんやりしながら考えていた。だけど時間は有限で、もう終了まで残り数分ってところだ。

今日は満月で、帰り道みんな空を見上げて嬉しそうに笑っている。

無駄だったなんて思わない。悔しいことだっていっぱいあった。クソ人間だったって思い知って自分の嫌なところもいっぱい見つけて。嫌われて、嫌って。だけど、汗をいっぱいかきながらグランドを駆け回って、暑さも寒さも関係なしに、嬉しくなって、バカみたいに、永遠に笑っていた。
全部、ぜんぶ、過ぎていった。すばやく全てを飲み込んで、去っていった。

どうしようもなく不安になって歩いていく。

過去より未来。って、みんなそう言うけどそんなことぜったいに、ない、よね。
青春
公開:20/11/30 22:04
更新:20/11/30 22:11

きらきらのべる

読書が趣味で、自分でも書いてみたいなと思い始めました。
マイペースに投稿、どうぞよろしくお願いします。

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