恋をするとなぜ3kg痩せたいと言うのか

僕のゼミの教授がそんな研究をしているというと、彼女はフンと鼻で笑った。
「それってなんか意味あんの？」
そう言いながらぱくぱくとケーキを食べる。今月三度目のケーキバイキングで全種食べ尽くす勢いだ。バイト代が彼女の胃袋に溶けていくが、その食べっぷりに惚れてんだからしょうがない。

研究室のドアを開けると教授が満面笑み。
「とうとう見つけたぞ」
心臓の横っちょあたりにあったのだ。恋心を入れる小さな袋が。
「ホントですか？」
「ほら恋心は『膨らむ』って言うじゃないか。思ったとおりだ」
教授が興奮してまくし立てる。
「3kg分の減量で体内にこの袋が膨らむ余地ができるんだ。よく恋やつれって言うだろ、あれは恋心が膨らみ過ぎたせいなんだよ。余地を作ろうと体が痩せようとするんだ」
「でも誰もがみんな痩せたいって言うわけじゃないですよね」
「それは恋してないからだよ」

ちょっと待てよ。じゃあ僕の彼女は…。