ご縁がなかった

10
8

スマホの着信音。鼓動が早まる。姿勢を正し、少し間を開けてスマホの画面をスライドした。

「今回はご縁がなかったということで。」
「わかりました。わざわざご連絡を頂き、ありがとうございました。」明らかに落胆した声色を隠せないまま、社交辞令を返す。スマホをベッドに放り投げ、そのまま枕に顔を埋めた。
ご縁が無かったのはこれで何社目だ?
縁ってなんだよ。ふざけんな。面接ではあんなに盛り上がっただろ。ぶつけようのない怒りが頭に充満する。
シーツを握りしめ、あれこれと面接のことを思い出していた途端、「ご縁」があった学生達の喜ぶ顔が浮かんでくる。焦燥。もう友達は内定をもらって、あちこち遊びに行っている。
「なんで俺だけ。」
縁なんか信じてない。運命の出会いだ?そんなのありえない。うん、たまたまだよ。あの面接官のみる目がなかったんだ。次はきっと大丈夫。頭ではわかってるのに、なんで涙が止まらないんだろう。
その他
公開:20/11/30 15:15

リンムー( 東京 )

大学生
お願いします。

 

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容