ランナーズハイ

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コツ、コツ、コツ…
深夜、男は薄暗い階段を降りていた。周囲のコンクリートの壁が息苦しい。切れかけの電球がチカチカ光る。
下まで着くと、ドアの前にガタイのいい大男が立っていた。こちらを睨みつけている。
「合言葉は?」低く、迫力のある声だ。
「アシックス」か細い声で答える。
大男は無言でドアを開けた。額に汗がにじむ。もう、後戻りはできない。
暗い通路を進み、開けた場所に出た。そこには、綺麗に並べられたランニングマシーン。たくさんの男女が一心不乱に走っている。みな笑顔だ。男は胸が高なった。身体全体に血が巡り、手が震える。コートを脱ぐとランニングマシーンに静かに乗り、駆け出した。

ランニングをしている内に気持ち良くなってくるランナーズハイが社会現象になって数年。ランニング中毒者が続出し、政府はランニングを厳しく規制した。しかし、日本のどこかに隠れてランニングをしている闇ランナーたちがいるらしい。
SF
公開:20/11/30 13:59
更新:20/11/30 14:12

リンムー( 東京 )

大学生
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