初恋

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それは、深く雪が積もったある冬の日。僕は、恋をしたのです。
彼女は、突然現れました。真っ白な肌に、赤い瞳が印象的な、美しい方でした。耳は左右で少し形が違っていたけど、それすら、愛おしく思える程綺麗でした。
「は、初めまして」
僕は勇気を振り絞って彼女に声を掛けました。彼女から返事はありません。
見た目からして、きっと、どこかの国のお姫様なのでしょう。だから、平凡な僕とは口を聞いてはくれないのかもしれません。
けれど、それでも僕は彼女に毎日話しかけました。彼女は、毎日僕の家の外にいたので、返事はくれないけど、きっと、僕のことを気に入ってくれているのだと思います。

するとある日、ぽつりと彼女が、口をきいてくれました。
「あなた、おもしろ、いね」
少し固い話し方だったけど、僕は、とても嬉しかったです。

その次の日、彼女は居なくなっていました。

「折角作った雪兎、溶けちゃったねぇ。ピョン太」
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公開:20/12/01 11:56

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