薄暗い希望

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思い切って外に出てみたが
寒さで凛とした澄んだ空気。汚れなき十代のような淡く青い空。
絶望は眩しいと何かの本で読んだ記憶が蘇る。
埃と湿気を養分にして生きる今の自分では言い知れない息苦しさを覚えた。
思わず目の前の建物に逃げ込んだ。カビ臭い薄暗さにほっとした。
誰かに見つかれば侘びて去れば良い。エントランスを進んでいく。
開けた部屋に着くと等間隔に絵画が飾ってある。美術館であることに気づく。
美しい風景画、誰かの人物画、理解に苦しい抽象画。
こんな場所に来るのは何年ぶりか考えていると、ある絵に心奪われた。
立派な額縁には保護用のガラスがはめてあった。
目の前に立つと自身が映る。芸術には程遠い貧相な自分の姿だ。
しかし陰湿な額内に収まる自分の姿は居心地がよかった。
そして絵の中に取り込まれる。

前の絵画の中は明るいタッチでどうも居心地が悪かった。
薄暗い希望を噛みしめた。
ファンタジー
公開:20/12/01 11:24

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

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