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「僕はね、奇妙な風景を見た事があるんだ」
喫茶店で、哲二さんはマスターに話し始めた。
「少年の頃、家の近所の田んぼの向うに、送電線の鉄塔があってね」
「ええ」
「それである日、塔の途中に、何か波の点のように光るものがついてた」
「へぇ」
「ネオンみたいに点滅して、まるで小さいUFOが引っかかったようで」
「それって何でっしゃろ。光る看板か何かですか」
「いや、だって普通の送電線の鉄塔だもの」
「ほぉ」
「急いで家に帰り、家族に言っても馬鹿にされただけ。で、もう一度見に行ったら、鉄塔の途中に灯りが1つ付いているだけだった」
「じゃ、何なんです?その光りの点の波は」
「きっとね、鉄塔と、僕の目の間の空気が、まだらに格子状のレンズの様になって。それが灯りを分散させたと思うんだ」
「では鉄塔のその灯りの部分だけに、小さい小さい“狐の嫁入り”現象が起きた、って事ですか」
「うん、そうかもしれないね」
喫茶店で、哲二さんはマスターに話し始めた。
「少年の頃、家の近所の田んぼの向うに、送電線の鉄塔があってね」
「ええ」
「それである日、塔の途中に、何か波の点のように光るものがついてた」
「へぇ」
「ネオンみたいに点滅して、まるで小さいUFOが引っかかったようで」
「それって何でっしゃろ。光る看板か何かですか」
「いや、だって普通の送電線の鉄塔だもの」
「ほぉ」
「急いで家に帰り、家族に言っても馬鹿にされただけ。で、もう一度見に行ったら、鉄塔の途中に灯りが1つ付いているだけだった」
「じゃ、何なんです?その光りの点の波は」
「きっとね、鉄塔と、僕の目の間の空気が、まだらに格子状のレンズの様になって。それが灯りを分散させたと思うんだ」
「では鉄塔のその灯りの部分だけに、小さい小さい“狐の嫁入り”現象が起きた、って事ですか」
「うん、そうかもしれないね」
その他
公開:20/11/29 10:41
更新:20/11/29 13:42
更新:20/11/29 13:42
喫茶店
フシギ談話
実話シリーズ
雑貨関連の仕事をしています。こだわりの生活雑貨、インテリア小物やおもしろステーショナリー、和めるガラクタなどが好きです。
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