楽々掃除薬

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 掃除が面倒。そんな、全人類の悩みを、一挙に解決する薬を開発した。
「これを飲めば、掃除を意欲がみなぎる。さらに、片付けが終わり次第、その間の記憶が消える」
 博士は試しに、一錠飲んでみた。
 数回瞬きすると、研究室の掃除が終わっていた。時計は二時間進んでいる。
「素晴らしい。これならめんどくささを感じずに済む。ただ、少々疲れたな」
 椅子に座り、テレビをつける。
「おいおい、このアナウンサー何寝ぼけたことを言っているんだ。今月は10月だぞ? 何で11月とか言っているんだ――」
 はっ、として日記を確認した。自分の筆跡で、一か月分の記録が更新されていた。
 慌てて、助手に電話をかける。
 なぜか、足元からメロディーが聞こえてきた。
「これは助手の電話の着信音。なんで床下から聞こえてくるんだ」
 博士は、恐る恐る床下収納庫を開けた。
 床下には、綺麗に片づけられた、助手の体が収納されていた。
SF
公開:20/11/28 22:35

ゆぅる( 東京 )

お立ち寄りありがとうございます。ショートショート初心者です。
拙いなりに文章の面白さを追求していきたいと思って日々研究しています。
よろしくお願いします!

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