ゆりかご

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 あの朝、いつものようにゴミ捨て場にゴミを捨てに行くと、ゆりかごが一つ捨てられていた。
 こんなものを捨てるなよと思いつつ、ゴミ袋を捨てて立ち去ろうとすると、ゆりかごの中で、エヘヘッという笑い声が聞こえた。
 驚いて中を覗いたが、そこには赤ちゃんらしき姿は見えない。
 空耳かと思いっつ、再びその場から離れようとすると、ゆりかごが一人でにユラユラと揺れ出した。
 身体が固まってしまい、その場で棒立ちになってゆりかごを見ていると、中からハッキリと赤ちゃんの楽し気な笑い声が聞こえて来た。そればかりか、赤ちゃんをあやす両親らしき笑い声、そんなものまで聞こえて来た。
 それを聞いていると、何だか私まで暖かな気分になって来て、フゥッと肩の緊張がとけた。
 途端に、ゆりかごの中から、赤ん坊とその両親らしき男女の絶叫が聞こえ、肉の焦げたような臭いがした。
 今でも時折、あの時の絶叫と臭いがすることがある。
ホラー
公開:20/11/30 08:11
怪奇小説 『幻想日和』

海棠咲

 幻想小説や怪奇小説を自由気ままに書いています。
 架空の国、マジックリアリズム 、怪談、残酷なファンタジー、不思議な物語が好きです。
 そこに美しい幻想や怪奇があるならば、どんなお話でも書きたいと思います。

 アイコンは宇薙様(https://skima.jp/profile?id=146526)に描いていただきました。

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