視界
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眼鏡にAIが搭載されて10年ほどが経過した。高額で庶民が手を出せない時代はとうに過ぎ去り、今やスマホやPCを介して行っていた事を歩きながら簡単にできるようになっていた。
「今の世界を、医師の目線から見てどうでしょう?」
私が眼科の医師に聞くと、医師の男はこう答えた。
「便利になるのは良いことだと思いますよ。けれど、同時に不利益も発生しています」
「不利益というのは、例えばどんな?」
「動けなくなるんですよ」
男はかけていた眼鏡を外した。
「いつも頼りきりになっているメガネを取り上げると、その人は何もない景色に耐えられなくなるんです」
時々いるんですよ、と男は付け加えた。
「これじゃあ、人が眼鏡をかけているのかAIが眼鏡をかけているのか分かりませんよね」
そう言って、男は私の目の辺りを指さした。
「ちなみにそれ、どっちなんでしょうね? 先程から右上ばかり見ていますが」
「今の世界を、医師の目線から見てどうでしょう?」
私が眼科の医師に聞くと、医師の男はこう答えた。
「便利になるのは良いことだと思いますよ。けれど、同時に不利益も発生しています」
「不利益というのは、例えばどんな?」
「動けなくなるんですよ」
男はかけていた眼鏡を外した。
「いつも頼りきりになっているメガネを取り上げると、その人は何もない景色に耐えられなくなるんです」
時々いるんですよ、と男は付け加えた。
「これじゃあ、人が眼鏡をかけているのかAIが眼鏡をかけているのか分かりませんよね」
そう言って、男は私の目の辺りを指さした。
「ちなみにそれ、どっちなんでしょうね? 先程から右上ばかり見ていますが」
その他
公開:20/11/29 23:40
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