都内連続失踪事件

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都内各所で連続失踪事件が起き、警視庁に特別捜査本部が設置された。
失踪者が暮らしていた部屋の床にはどこも同じ赤の魔法陣が残されており、二重の同心円を跨ぐ五芒星と、何かのエレメントを象徴しているらしい異なる八つの紋様、そして解読不能の文字が内円の外周に沿うようにして刻まれてあった。
その儀式的雰囲気に確証を与えるかのように、あたりには植物の葉や根の破片が音なく横たわっている。
灰皿の上には吸いかけのタバコが置かれているが、失踪者の持ち物ではないらしく、指紋もついていない。銘柄はパーラメント。

「大根ですか?」
先日捜査に加わったばかりの部下が眉をひそめる。
「ああ、品種は不明だが、残留物はラディッシュの一種らしい」


帰宅すると、妻の姿がない。
リビングの床には件の魔法陣。悪寒がしてダイニングへ向かうとテーブルの上には置き手紙が。

「ちょっと世界救ってくる」

何が起こってるんだ……?
ミステリー・推理
公開:20/11/30 07:00
更新:20/11/29 22:19

レオニード貴海( 某海なし県 )

さまようアラフォー主夫

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