絶対文感

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私は絶対音感ならぬ絶対文感を持っている。
絶対音感は耳に入る音が全てドレミに聞こえるもので、絶対文感は耳に入る音が全て文へと置き換わるものである。
幼い頃、強風にあおられると『吹きすさぶ風が幼い身を襲う…』などとわけの分からない文が耳に入り、よく首を傾げていた。好奇心から文の意味を積極的に調べていたものだから国語の成績だけは良かった。
だがいいことばかりではない…私にはこの能力のせいで友達と呼べる人がいなかった。
絶対文感は人の言葉にも注釈を入れる。私は絶対文感のせいで疑似的にではあるが人の心を読めるようになってしまった。
人が怖い…だから私は本の世界に逃げ込んだ。
そんな世界にあの人が現れた。不器用で、裏表のない人。
その人のおかげで私は絶対文感とも向き合うようになった。私は絶対文感の面白い使い方を見つけ、それを仕事にした。
その仕事は翻訳家。
私は今、言い訳を翻訳する仕事をしている。
公開:20/11/29 20:27

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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