博物館の首吊り死体

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 小谷さんが学芸員として働いている博物館では、展示替えを行うたびに、展示ケース内に首吊り死体が現れるのだという。
 首吊り死体が現れる展示ケースは一定ではなく、また、展示替えを行っているケースの中に現れるわけでもないそうだ。
 小谷さんいわく、それは急に視界に飛び込んで来るものであるらしい。
 展示台の入れ替えが終わって一息つくために外へ出た時や、資料を収蔵庫から展示場へ台車を使って運んでいる時にフッと視線を展示ケースの方へ向けると、そこの中で首吊り死体がブラブラと揺れているのだ。
 この博物館へ入った当初、小谷さんはよく首吊り死体を目にしては叫び声をあげていたのだが、一年も経つと、慣れてしまって気にならなくなったそうだ。
 ただ、展示ケース内に現れる首吊り死体が、毎回、博物館のスタッフの誰かであることだけは、いまだに慣れずイヤなのだという。
ホラー
公開:20/11/28 08:29
怪談 『刹那怪談』

海棠咲

 幻想小説や怪奇小説を自由気ままに書いています。
 架空の国、マジックリアリズム 、怪談、残酷なファンタジー、不思議な物語が好きです。
 そこに美しい幻想や怪奇があるならば、どんなお話でも書きたいと思います。

 アイコンは宇薙様(https://skima.jp/profile?id=146526)に描いていただきました。

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