2
5
「気づかないんだね、姉だよ私」
キスのあと、薄く笑って彼女は言った。西日が差し込む空き教室。話があると呼び出され、無言で唇を重ねられた。
彼女には、この高校に双生児の姉がいる。容姿はもちろん、髪形までそっくりだ。妹とつきあって、一年過ぎた僕でさえ、ときに二人を見間違える。
うつむく彼女の顔を見て、まさかと僕はうろたえた。
一つだけ、確実に見分けるすべを知っている。
「左胸のホクロ?」
察したように彼女が囁く。僕が小さくうなずくと、制服のリボンを解いて、シャツのボタンを三つ外した。
そのまま右手で下着を五センチ下にずらす。
丸みを帯びた白い肌。あるはずの、小さなホクロはそこにない。
「姉の体を知っているんだね」
そこでようやく、妹の仕掛けた罠に気づく。
半年前から、僕は密かに姉とも関係していた。
妹が泣いている。
床に落ちる雫をぼんやり眺め、恋の終わりを僕は知る。
キスのあと、薄く笑って彼女は言った。西日が差し込む空き教室。話があると呼び出され、無言で唇を重ねられた。
彼女には、この高校に双生児の姉がいる。容姿はもちろん、髪形までそっくりだ。妹とつきあって、一年過ぎた僕でさえ、ときに二人を見間違える。
うつむく彼女の顔を見て、まさかと僕はうろたえた。
一つだけ、確実に見分けるすべを知っている。
「左胸のホクロ?」
察したように彼女が囁く。僕が小さくうなずくと、制服のリボンを解いて、シャツのボタンを三つ外した。
そのまま右手で下着を五センチ下にずらす。
丸みを帯びた白い肌。あるはずの、小さなホクロはそこにない。
「姉の体を知っているんだね」
そこでようやく、妹の仕掛けた罠に気づく。
半年前から、僕は密かに姉とも関係していた。
妹が泣いている。
床に落ちる雫をぼんやり眺め、恋の終わりを僕は知る。
恋愛
公開:20/11/28 03:27
更新:20/12/13 02:50
更新:20/12/13 02:50
Twitterで掌編小説を書いています。本業は別ジャンルの物書きです。好物はうまい棒とダイエットドクターペッパー。
フォロワーさんに「ショートショートガーデン」を教えていただきました。どうぞよろしくお願いします。
Twitter(https://twitter.com/l3osQbTDUSKbInn)は毎日更新しています。
イラストはミカスケさん(https://twitter.com/oekakimikasuke)やノーコピーライトガールさん(https://twitter.com/nocopyrightgirl)の作品です。写真はフリー素材を利用させていただいています。
ログインするとコメントを投稿できます