三十路と魔法のアイシャドウ

0
1

「まさか、私が世界平和なんて無理よ」

 戦いの女神から魔法のアイシャドウをもらったのは三十路の花子だった。 
 この歳まで男っ気などなく、化粧などはしたことがない。それなのに、女神に変身するアイシャドウなんて、と眉をひそませた。
 戦いの女神は美しく、キラキラと輝く。

「女はいつでも輝けるから、それに世界が戦争の無い平和な星になって欲しいでしょ?」

 そう言って天界に去っていった。
それでも花子はアイシャドウをつけようとはしなかった。

「だって似合わないんだもん」

とその時、遥か上空から1人の女性が降り立ち、その衝撃で道路を粉砕した。

「花子!これ最高よ!」

 60歳を超える、花子の母親は、真っ青なアイシャドウをして、若々しく美しくなっていた。そして奇声をあげて地面を蹴り、アスファルトを破壊して飛び立って行った。

 ちょっとだけ塗ってみようかな。そう思う花子であった。
SF
公開:20/11/28 02:57

福田天太郎

はじめまして。プロフィールを見てくれてありがとうございます。とっても嬉しいです。

ジャンルは濃い恋愛以外はなんでも書きます。
ショートショートも大好きです。やはり源流は星新一先生ですね。


カクヨムでハイジの続きとか小説書いてます。こちらもよろしくお願いします。

 @hukudahappy
 

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容