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病院で、高校時代の彼女と会った。
三年次の理系クラスで初めて出会い、消しゴムを貸し借りしたのが馴れ初めだった。
放課後、学校近くの図書館で、僕らは並んでノートを開き、苦手分野を教え合う。時間切れで追い出され、手をつなぎながら夜道を歩いた。別れ際、いつも彼女は背伸びして、僕に優しくキスをした。
春がめぐり、彼女は地元の看護学校に合格する。「戻ってくるから」。そう約束し、僕は都会の大学へと旅立った。
互いに授業が忙しく、次第にメールの数が減っていく。やがて音信不通になり、幼い恋は淡く潰えた。
あれから十年。病室で久しぶりに再会し、空白を埋めるように僕らは話す。「ともに夢を叶えたね」「二人ともまだ独身なんて笑っちゃう」。会話を紡ぐ彼女の笑顔に、胸が押し潰されそうになる。
残された命の長さはわずか半年。
「最期までよろしくね」
パジャマ姿の彼女が、病床から白衣の僕に微笑んだ。
三年次の理系クラスで初めて出会い、消しゴムを貸し借りしたのが馴れ初めだった。
放課後、学校近くの図書館で、僕らは並んでノートを開き、苦手分野を教え合う。時間切れで追い出され、手をつなぎながら夜道を歩いた。別れ際、いつも彼女は背伸びして、僕に優しくキスをした。
春がめぐり、彼女は地元の看護学校に合格する。「戻ってくるから」。そう約束し、僕は都会の大学へと旅立った。
互いに授業が忙しく、次第にメールの数が減っていく。やがて音信不通になり、幼い恋は淡く潰えた。
あれから十年。病室で久しぶりに再会し、空白を埋めるように僕らは話す。「ともに夢を叶えたね」「二人ともまだ独身なんて笑っちゃう」。会話を紡ぐ彼女の笑顔に、胸が押し潰されそうになる。
残された命の長さはわずか半年。
「最期までよろしくね」
パジャマ姿の彼女が、病床から白衣の僕に微笑んだ。
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公開:20/11/28 02:03
更新:20/12/13 02:58
更新:20/12/13 02:58
Twitterで掌編小説を書いています。本業は別ジャンルの物書きです。好物はうまい棒とダイエットドクターペッパー。
フォロワーさんに「ショートショートガーデン」を教えていただきました。どうぞよろしくお願いします。
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イラストはミカスケさん(https://twitter.com/oekakimikasuke)やノーコピーライトガールさん(https://twitter.com/nocopyrightgirl)の作品です。写真はフリー素材を利用させていただいています。
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