運命の糸工場

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この工場では運命の糸を生産している。
今日はバレンタインデー。一年で一番忙しい日。
私はここで糸を紡いで、運命の2人に結び付けるまでを担当している。
糸を届けるだけでいい時もあるけれど、場合によっては結ぶのを後押しすることがある。

あ、いた、あの2人だ。
場所はフレンチレストラン。
いかにもデートって感じ。いい雰囲気。
届けて終わりかな?
「これ、義理じゃないです」
チョコレートを渡しながら彼女が言う。
彼も彼女のことが好きなんだな。
優しくて一途な人。でも、ちょっと自分に自信がないタイプで完全な告白とは捉えられてないみたい。
糸を結ばなきゃ。
「あの…諒介さんのことが好きです。付き合ってください」
「…はいっ、俺も紗由さんのことが好きです。よろしくお願いします!」

良かったぁ。来月のホワイトデーを待つよりも鉄は熱いうちに打てというものだからね。
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公開:20/11/27 21:49
更新:20/12/05 20:25

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