結婚相談所のフィー子３

　私はフィー子。結婚相談所の職員。

「普通」という言葉は魔法の言葉だ。いくつもの「普通」が重なれば、それはもはや普通ではない。

「僕、一般的な『普通』には程遠いんですけど、大丈夫でしょうか？」
「ああ、女性の言う『普通』はあてにしない方がいいですよ」

　婚活前に勉強してきたのか、相談相手の男性はかなり低姿勢で相談しに来た。

「年収は何とか６００万ありますけど、身長は１６５ｃｍですし長男ですし……一応一人暮らしで免許はあって、何とか相手に楽しんでいただければ……」
「あー、多分あなた選ぶ側の人間なので条件指定していいですよ。あとデートしてダメ出ししてくる女性とかさっさと切っていいんで」

　なお、容姿も平均以上。普通が３つも４つもあれば十分ハイスペックだ。これ以上高望みするならそいつに婚期はない。