ロマンスは事件の最中に①

　厳格な富豪A氏は殺されたのだが、指にはダイイング・メッセージが知るされていた。

【ホクロ３つ】

　素直に名前を書いてくれれば、事件は長引かないのだが、とS警部は眉を寄せる。

　M婦警は真面目なので、2人の美しい女中にそれぞれ話を聞いていた。

　B子は知らないと言い、C子は私じゃないと言う。
　しかし、アリバイの無い、このどちらかが犯人なのだ。

「共犯の線もありますね…」

　M婦警が難しい顔をしていると、S警部は「2日はかかる…」と言った。

　2日後。犯人の自白により、C子が逮捕された。
　M婦警は首を傾げる。
「結局、ホクロ３つってなんだったんです？」
　S警部は笑顔で答えた。
「ああ、それね。C子さんのお尻にね。あるんだ。３つ。B子さんはないから」

　厳格なA氏は女中との情事を親戚に知られたくなかったのだろう。

　もちろん、M婦警が蔑む顔をしたのは言うまでもない。