五十年前の恋人
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このお宮参り、階段が五〇以上ある。
高校生のオレには苦なく登れるものの、先ほどから石階段の前で立ち止まっていた老婆が気になった。
「おばあちゃん、背負って登ってあげようか」
おばあちゃんは無言でオレの背中に回った。歳のころなら80すぎだろうか、そして体重は軽く感じた。
「おばあちゃん、何のお参りなの?」
「うん、初恋の人との会う約束があるんだよ」
「へえー、僕もそうなんだよ・・・。初恋の人との初デートなんだぁ」
階段を登り切った時に、おばあちゃんが耳元でささやいた、
「シゲキ君、50年ぶりだねえ」
おばあさんは手鏡をオレの鼻先に、そしてゆっくりと遠ざけた。そこには老齢のオレの顔も写っていた。
高校生のオレには苦なく登れるものの、先ほどから石階段の前で立ち止まっていた老婆が気になった。
「おばあちゃん、背負って登ってあげようか」
おばあちゃんは無言でオレの背中に回った。歳のころなら80すぎだろうか、そして体重は軽く感じた。
「おばあちゃん、何のお参りなの?」
「うん、初恋の人との会う約束があるんだよ」
「へえー、僕もそうなんだよ・・・。初恋の人との初デートなんだぁ」
階段を登り切った時に、おばあちゃんが耳元でささやいた、
「シゲキ君、50年ぶりだねえ」
おばあさんは手鏡をオレの鼻先に、そしてゆっくりと遠ざけた。そこには老齢のオレの顔も写っていた。
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公開:20/11/28 09:31
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