死の予兆

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 朝顔の花は、アナタにとって死の予兆ですと言われて、私は苦笑せざるを得なかった。
 私の管理している花園には朝顔の花しかないのだから。様々な肥料や魔法によって、一年中朝顔の花を楽しめるようにしているのだ。
 目の前にいる水占い師だという娘は、私が苦笑すると、顔を赤らめ歪めた。一晩の宿りのお礼にと、よかれと思って行った自分の水占いが貶されたと、そう思ったものらしい。
 だから、私は慌ててこの奇妙な客人に言葉をかけた。
「朝顔の園に迷い込んだ客人よ、別にアナタの占いを貶しているわけではないのです。ただ、アナタの予言が正しいとして、私は朝顔の花たちを守る他には生きる術を見いだせないのです。それこそが、園守の末裔である私の使命なのですから」
 私がそう声をかけてやると、占い師の娘は悲し気に首を振り、朝陽が昇るのと同時に、この庭園を去って行ってしまった。
ファンタジー
公開:20/11/28 08:57
ハイファンタジー 『ダークファンタジア』

海棠咲

 幻想小説や怪奇小説を自由気ままに書いています。
 架空の国、マジックリアリズム 、怪談、残酷なファンタジー、不思議な物語が好きです。
 そこに美しい幻想や怪奇があるならば、どんなお話でも書きたいと思います。

 アイコンは宇薙様(https://skima.jp/profile?id=146526)に描いていただきました。

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