夕暮れ自動販売機

「今夜、食事に行きませんか？」
突然誘われた私は「喜んで」と答え、夕暮れ自動販売機へと走り、UMカットクリームを購入する。
UMとは夕暮れマジックの略。夕暮れの異性は魅力的に映りやすいという魔法の事だ。
気になっていた男性からの誘いは魅力的である。でも魔法にかけるのは女の特権。間違っても相手の魔法にかからないようにと注意する。
男性の車に乗り、レストランへと移動する。他愛無い会話、相手から何か仕掛けてくる様子はない。食事も奇を衒わず、何のドラマもなく進む。
何だかこうしてみるとつまらない男…UMカットクリーム使うまでもなかったな…
食事を終え、嘆息する私はふと支払いをしている男性の財布に目が行った。中々いいセンスしているわね。
そう言えば、料理も私好みだったし…あれ？やっぱりいい男かも？

なんて、彼女は思っているだろうな…
夕暮れ自動販売機で買ったUMセット、財布と料理に使って大正解だ。