人斬り半兵衛
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予約した理髪店の隣のビルに古い看板があった。
『人斬り半兵衛跡』
何でもこの付近で有名だった人斬り半兵衛がここで捕まったらしい。物騒な話だ。とはいえ、看板を見たところで特に恐ろしさは感じない。時代の流れとはそんなものだ。
カランカラン
「いらっしゃい」
店に入ると白髪の主人が愛想良く出迎えてくれた。
「予約のお客さんですね、こちらへどうぞ」
席に座りケープに腕を通すと、まもなくシャッシャッと髪を切る小気味のいい音がした。
「お客さんは初めてですよね」
「えぇ。ご主人はこのお店長いんですか?」
「もう20年以上になりますか。ずいぶんとお客様の髪を切ってきましたが」
その時すぅっと主人の手が止まった。鏡を見ると主人はハサミを構たまま、にたりと笑っている。
「お客さんは私を斬ったじゃないですか」
この時自分が前世、人斬り半兵衛であったことを思い出した。
『人斬り半兵衛跡』
何でもこの付近で有名だった人斬り半兵衛がここで捕まったらしい。物騒な話だ。とはいえ、看板を見たところで特に恐ろしさは感じない。時代の流れとはそんなものだ。
カランカラン
「いらっしゃい」
店に入ると白髪の主人が愛想良く出迎えてくれた。
「予約のお客さんですね、こちらへどうぞ」
席に座りケープに腕を通すと、まもなくシャッシャッと髪を切る小気味のいい音がした。
「お客さんは初めてですよね」
「えぇ。ご主人はこのお店長いんですか?」
「もう20年以上になりますか。ずいぶんとお客様の髪を切ってきましたが」
その時すぅっと主人の手が止まった。鏡を見ると主人はハサミを構たまま、にたりと笑っている。
「お客さんは私を斬ったじゃないですか」
この時自分が前世、人斬り半兵衛であったことを思い出した。
ホラー
公開:20/11/26 12:52
更新:20/12/01 12:34
更新:20/12/01 12:34
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