岩屋の旦那
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巨大な岩室の中、かんらん石のランプの明かりを頼りに岩書を読んでいると、トントンと室を叩く音がした。
「誰だね? 冬に私の岩室に来るのは?」
「岩屋の旦那様、私です、石細工屋のアスナでございます」
その若々しい凛とした声を聞いて、私は驚いた。すぐに読みかけの岩書を適当な岩石の中に沈み込ませると、居住まいを正して声の聞こえる方に口を近づける。
「アスナ殿か。これは珍しい。まだ春にも遠いこんな時期に、そなたが来るとは。果たして、どうされたのか?」
「他でもございません、さざめきの森のことでございます。森の石や岩たちが大層怯えておりまして」
「何、森が?」
私は驚いてしまい、思わず立ち上がると、声のする方向の岩室の壁をスルリと突き抜けて、久々に外へと出たのだった。
「誰だね? 冬に私の岩室に来るのは?」
「岩屋の旦那様、私です、石細工屋のアスナでございます」
その若々しい凛とした声を聞いて、私は驚いた。すぐに読みかけの岩書を適当な岩石の中に沈み込ませると、居住まいを正して声の聞こえる方に口を近づける。
「アスナ殿か。これは珍しい。まだ春にも遠いこんな時期に、そなたが来るとは。果たして、どうされたのか?」
「他でもございません、さざめきの森のことでございます。森の石や岩たちが大層怯えておりまして」
「何、森が?」
私は驚いてしまい、思わず立ち上がると、声のする方向の岩室の壁をスルリと突き抜けて、久々に外へと出たのだった。
ファンタジー
公開:20/11/27 07:35
和風ファンタジー
『和幻之郷』
幻想小説や怪奇小説を自由気ままに書いています。
架空の国、マジックリアリズム 、怪談、残酷なファンタジー、不思議な物語が好きです。
そこに美しい幻想や怪奇があるならば、どんなお話でも書きたいと思います。
アイコンは宇薙様(https://skima.jp/profile?id=146526)に描いていただきました。
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