端役の役目

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私は人生で一度もスポットライトを浴びた事がない。主役になった事がない。それは私が端役だから。
端役に不満を持った事はない。注目を浴びるのは苦手だ。裏方が性に合っている。
抑々端役はとても大切な役目である。端があるから中心がある。端役とは始点であり終点である。
そんな私は結婚式場で働いている。式の端で独身のゴールと夫婦のスタートを祝う役目を担っている。主役である新郎新婦が中心で輝けるよう精一杯、端役を全うする。
新郎新婦が移動する。私も移動する。端役は主役と同等に忙しい役割だ。
縁の下の力持ち。私は最も遠い場所で最も主役に尽力する。
そっと反対側へと目配せをする。相方の端役が頷く。
端は単体では成り立たない。複数あって初めて中心が生まれる。私達が手を取り合う事で式は大団円を迎えた。
目端の利く私は円中の縁者に目を付けた。次はあの人を主役にしよう。
縁を巡らし、スピンオフ結婚式を作り続けよう。
公開:20/11/24 19:28
更新:20/12/29 21:11

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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