夕暮れ自動販売機

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山道の工事を終え、会社に帰る前に珈琲でも…と思い自販機に100円を入れる。…あれ?反応がない?
もう1度100円を入れる。…やっぱり反応がない。しかも金が返ってこない。この自販機、壊れているのか?
「どうした?」
親方が声をかけてきた。僕の説明に親方はじっと自販機を見つめ、皆に招集をかけた。
「お前ら、今からコイツにありったけの硬貨を入れろ」
親方は率先して硬貨を入れて行く。僕も親方に倣い硬貨を入れて行く。皆も渋々ではあるが硬貨を入れて行く。
ん?自販機の様子がおかしいぞ?色が変わって、震えている?
皆が自販機を見つめる中、それに変化が起こった。
ぽんっ!と音と共に自販機が消え、狸が現れた。
「朝、ここに自販機なんてなかった。コイツの仕業だったんだよ」
親方は狸を逆さまにしてその尻を思いっきり叩いた。
狸は口から硬貨をジャラジャラと吐くと、夕暮れのような真っ赤な尻を押さえて山に逃げ帰った。
公開:20/11/24 19:25

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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