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「もしも少しだけ願いが叶うというのなら、ほんの少しだけ、イトちゃんをを幸せにしてあげて。」確かに私はそう言ってしまった。星が輝くあの暗い空に向かって、願ってしまった。イトちゃんとは、仲が良かった訳ではない。むしろ嫌いだ。時々横柄な態度をとって意地悪してくるイトちゃんのことは好きではなかった。だけど、あんなに悲しそうに泣くイトちゃんを見ていたら、なんだか自分まで悲しくなってしまった。ちょっとだけハッピーな気持ちにしてあげたいと、少し思ってしまった。嫌いな人は、嫌いだ、仲良くはできない。仲良くしたいとも思わない。だからといって、地獄に落ちろなんて思わない。だけど、やっぱり失敗したなと思う。年に一度、この日この場所で願い事をすると必ず叶う。なんでイトちゃんなんかに使ってしまったんだろう。人のために願うことはやめたはずなのに。今年こそは、自分のために使おうと決めていたのに。
その他
公開:20/11/25 22:55

きらきらのべる

読書が趣味で、自分でも書いてみたいなと思い始めました。
マイペースに投稿、どうぞよろしくお願いします。

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