新薬発表まで後5分【改】

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巷を騒がせた妄想熱発症の特効薬が開発され、記者たちが5分後の発表を部屋で待っていた。

T大のN教授が自信満々の笑みを浮かべて会議室へと歩いてゆく。

ここまで来るのは長かった。
5年の歳月を経た研究により、国民が待ちに待った特効薬の開発までこぎつけた。


だが、意気揚々と教授がドアノブに手を掛けた瞬間、横から「クワッ」とペンギンが歩いて行ったではないか。
(こんな所にペンギン?そんなはずが…)

心中に嫌な予感を抱え、教授がドアを開くとカメラを抱えたヒヒの群れが、けたけたと笑いながらシャッターを切った。

余りの眩しさに目を細めた教授は、そこでやっと自分が感染している事に気づいて世界に一つしかないサンプルを口へ放りこんでしまった。


すると、眼前に花の雪原が広がってゆく。
それは新薬の失敗を意味していた。

たが、時既に遅し。
遥か先まで続く花園へと人類は微睡みながら、沈んでいった。
ファンタジー
公開:20/11/25 15:47
更新:21/02/27 21:18

水鏡かけら( 日本 )

執筆のリハビリがてらに、書いております。
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