糸繰物語
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年が明けると、私は色とりどりの魂たちを糸に繰り込んで行く。
魂たちはそれぞれに個性がある。色の違い、光り方、形だって全て円いと思っていたら大違いで、よくよく見れば、少しへこんでいたり、長細かったりする。
私はそんな魂たちの個性をそれぞれ見極めて、繰り込む魂の組み合わせを考えながら、丁寧に作業を進めて行く。
この魂たちは、昨年に私の住む「さざめきの森」で死んだ生き物たちだ。その中には、猪や、鼠、毛虫に鮒、雉、人間もいる。皆、種族は違えど、魂になれば私の生み出す糸へと引き寄せられ、繰り込まれて行く。
私は冬の間に糸を吐き、魂を繰り込んで、愛しいあの方が春を届けてくれるのを待つ。
そして、あの方が春を届けてくれたなら、私は魂の光で極彩色に輝かせた糸を振袖に仕立てて、生まれたての春に着せてやる。
それが、糸繰蜘蛛たる私の役目なのだ。
魂たちはそれぞれに個性がある。色の違い、光り方、形だって全て円いと思っていたら大違いで、よくよく見れば、少しへこんでいたり、長細かったりする。
私はそんな魂たちの個性をそれぞれ見極めて、繰り込む魂の組み合わせを考えながら、丁寧に作業を進めて行く。
この魂たちは、昨年に私の住む「さざめきの森」で死んだ生き物たちだ。その中には、猪や、鼠、毛虫に鮒、雉、人間もいる。皆、種族は違えど、魂になれば私の生み出す糸へと引き寄せられ、繰り込まれて行く。
私は冬の間に糸を吐き、魂を繰り込んで、愛しいあの方が春を届けてくれるのを待つ。
そして、あの方が春を届けてくれたなら、私は魂の光で極彩色に輝かせた糸を振袖に仕立てて、生まれたての春に着せてやる。
それが、糸繰蜘蛛たる私の役目なのだ。
ファンタジー
公開:20/11/25 13:53
更新:20/11/26 18:57
更新:20/11/26 18:57
和風ファンタジー
『和幻之郷』
幻想小説や怪奇小説を自由気ままに書いています。
架空の国、マジックリアリズム 、怪談、残酷なファンタジー、不思議な物語が好きです。
そこに美しい幻想や怪奇があるならば、どんなお話でも書きたいと思います。
アイコンは宇薙様(https://skima.jp/profile?id=146526)に描いていただきました。
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