目玉 (つづき)

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今日のホームルームで先生から配られた目玉。僕らを危険から守るためって言うけど窮屈で仕方ない。夜もずーっと僕の方をじーっと見ているんだから。ベッドに入ってもなかなか眠れやしない。
じーっ。
僕は意を決して視線をそらさず目玉を見返してみた。
何を見てるの? …
君の見たものは先生にも見えるの? パチッ
君は目玉?  パチッ
君は百円玉? パチパチッ
あ、ハイは瞬き一回、イイエは二回だな。 パチ
海は好き? パチ
じゃあ、今から行く? パチ
こうして僕らは夜の海へ出かけることになった。目玉は光輝いて、自転車をこぐ僕を後ろから明るく照らしてくれた。住宅街を越えて浜に出ると、無数の漁火に照らされてぼーっと明るい水面が街のようだった。振り返ると、煌々輝く漁火の映った目玉が潤んで一粒の涙がこぼれ落ちた。
嬉しいの? パチ
目玉と僕の気まずい空気は消えていた。先生も嬉しい?怒ってる?ま、どっちでもいいや。
その他
公開:20/11/24 07:30
更新:20/11/26 12:20
とってもふしぎな創作ドリル 02目玉

マーモット( 長野県 )

初投稿は2020/8/17。
SSGで作品を読んだり書いたり読んでもらえたりするのは幸せです。趣味はほっつき歩き&走り(ながらの妄想)。
 

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