人体USB

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智子は洗面所でこめかみを覗きこんでいた。
そこには、USBが突き刺さっている。

頭の中に機械を差し込むのは、まだ慣れない。
USBの読み込みが完了したのか、赤く点滅している。

人体USB…現代人は脳に直接アクセスできる記録媒体の発明に成功した。

新婚2か月の智子は、いつものように夫を送りだした。
掃除を始めようと部屋に戻るとキラッと何かが反射した。

シルバーのUSB

「あら、これって。忘れていったのかしら?大変!」

慌てて届けようと思った、智子の足が止まる。
ふと不安がよぎった。

最近帰りが遅かったり、会話が少なかったり。
ちょっとした出来事が、疑いの材料には十分だった。

これを装着すれば、夫のすべての記憶が見れる。
あの人が何を見て。何を感じて。

智子のこめかみでシルバーのUSBが点滅したその時。
TVからニュースが流れてきた。

日本の離婚率が80%を超えたらしい。
SF
公開:20/11/23 23:01
更新:20/11/23 23:02

久我なおき

2020年11月23日ショートショート始めました。
まずは100本目指して頑張ります!
ジャンルは雑多ですが、コミカルな作品をまずたくさん書いていきたいと思います!

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