路地ハープ

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 丁字路のチェリオの自販機に隣に、一台のグランドハープがある。
 誰が弾いてもいいハープだ。

♪ゴッドファーザー(ロータ):散歩途中だ。こんなとこにチェリオがあるなんて知らなかったよ。定番コースになりそうだ(40・詩人)
♪「ドン・ジョヴァンニ」の主題による変奏曲(グリンカ):彼と喧嘩しちゃって、とりあえず一番遠くまでいける切符を買って走ってきたんです。スマホだけ持ってね。あ、着信だ!(16・学生)
[事故の多い五叉路の、一番細い路地の先にあるこの丁字路は、右へいっても左へいっても、塀に沿って一回りするしかない道だ]
♪つむじ風(サルツェード):ずっとこの曲が弾きたくてね。独学したんだ。母に会いたいよ。(53・自営業)
♪冬の鳥たち(モールディン):小さいころ叔母がよく弾いてくれた。いつもブルボンのお菓子が入った器があった。いつもロリータ剥いてくれたよ。7・小学生)
[自販機が当たった]
その他
公開:20/11/24 10:46
更新:20/11/24 13:48
駅ピアノ 空港ピアノ 街角ピアノ オマージュ第三弾

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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