no title
28
11
図書館でタイトルも作家の名前も意味不明な本を見つけた。中にはびっしり日本語で文字が書いてあるが意味のある文章は何一つ見つけられない。全部誤植だとしたら、それはそれで面白い。何のためにこんな本を作ったのだろうと、好奇心で司書に声をかけた。
「あの、この本なんですが」
「はい」
司書は本を受けとり、「またそれか」という顔をした。
「あの、これ何の本なのですか? 全然読めないんですけど」
「読めなくて当然です。この本は宇宙人に遭遇した自称作家が、宇宙人の言葉を写したもの、だそうです」
「はあ? なんですかそれ。そんな本を図書館に置いてるんですか?」
「自称作家はうちの館長なんですよ」
ちょうど館長は誰かと談笑しているようだ。
「また来てる」
舌打ちした司書の視線の先に光る船を見た気がした。
「あの、いま外に」
「仕事たまってるのに」
館長の姿は跡形もなく消えていた。
「あの、この本なんですが」
「はい」
司書は本を受けとり、「またそれか」という顔をした。
「あの、これ何の本なのですか? 全然読めないんですけど」
「読めなくて当然です。この本は宇宙人に遭遇した自称作家が、宇宙人の言葉を写したもの、だそうです」
「はあ? なんですかそれ。そんな本を図書館に置いてるんですか?」
「自称作家はうちの館長なんですよ」
ちょうど館長は誰かと談笑しているようだ。
「また来てる」
舌打ちした司書の視線の先に光る船を見た気がした。
「あの、いま外に」
「仕事たまってるのに」
館長の姿は跡形もなく消えていた。
ファンタジー
公開:20/11/23 09:06
更新:21/11/25 15:15
更新:21/11/25 15:15
未知との遭遇
射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。
ログインするとコメントを投稿できます