レグラージュ川

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 ロレイア州のレグラージュ川には、是非とも七月に訪れることをお勧めする。
 この月、レグラージュ川からは水音が消え、代わりに紅色に輝く花々がその流れを形作るのである。
 花の種類は実に様々で、数え切ることはできない。けれども、手をゆっくりと浸してみれば、それが普通の花ではなく、水が花の姿に変じていることが分かるはずだ。
 私もここを七月に訪れた時に、花々を手で掬って飲んでみたのだが、味は水、けれども匂いは実に香しい花のものであった。
 この不思議な現象は、科学や魔法の力ではなく、れっきとした自然現象なのだというが、いまだにその理屈は解明されていない。
 だからというわけでもないのだろうが、このレグラージュ川については、かつて花の女神アフラが七月に水遊びにやって来た時に、川の清い流れに感動し、水を紅色の花々に変えて賞賛した、という伝説が遺されている。
ファンタジー
公開:20/11/23 08:26
ハイファンタジー アイリーン・クロチェット 『アルタージュ国名所録』

海棠咲

 幻想小説や怪奇小説を自由気ままに書いています。
 架空の国、マジックリアリズム 、怪談、残酷なファンタジー、不思議な物語が好きです。
 そこに美しい幻想や怪奇があるならば、どんなお話でも書きたいと思います。

 アイコンは宇薙様(https://skima.jp/profile?id=146526)に描いていただきました。

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