コンコンチキチ

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「宵山どうする」
「美晴は初めてやからな、そりゃ行っとかなあかんで」と信二。
「うん行こ行こ。そんで他に誰誘う?」あやしげな京都弁を操る名古屋出身の美晴。 
祇園祭を前々から楽しみにしていた。美晴と信二は友人二人を誘って四人で四条河原町へと向かうことになった。
 祇園祭は京都三大祭りの中でも最も煌びやかだ。クライマックスの山鉾巡行はもちろん前夜祭の宵山、宵々山は京都市民の最大の楽しみとなっている。学生ら若い人もジーンズから浴衣に着替え、真夏の蒸し暑い最中にも関わらずこぞって繰り出すのだ。
 コンコンチキチ コンチキチン。祭囃子が聞こえてくる。太鼓、笛、鉦の奏でる軽妙で幻想的な旋律は人々を異世界へと誘う。
 菊水鉾に上ってみる。そこには今年亡くなった美晴の祖母とずっと前に逝った祖父の姿があった。
薄明りに照らされた美晴と祖父母は、待ち合わせていたかのように楽しそうに微笑み、語らっていた。
ホラー
公開:20/11/23 07:12

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