月を吸う(つづき)

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あー、美味しかったね。ストローで月を吸い終わった少年はそう言って僕にストローの束を差し出した。「じゃ、砂を入れてきて。」「え?」「ほら、そこ。」少年はすべり台の横の砂場を指す。「また月が吸えるように、宇宙塵に栄養をあげないと。」「宇宙人?」「あ、人じゃなくて塵の方ね。」僕がストローの束に砂をいっぱいに詰め込んで渡すと、少年はかばんから箱を取り出し、何やら白い液体を注ぎストローの束を浸し、束の両端をもってシャカシャカと振ってから、それを空に向かってぷーっと吹いた。すると空に白い雲が現われ、生クリームのようなそれは徐々に広がって月をうっすらと覆い隠した。「よし、きっと美味しい宇宙塵になるよ。」「月と宇宙塵て関係あるの?」「アストロカフェでは、宇宙塵で月を作ってるんだよ。見て、月の周りの透明な線。あれは透明な球の入れ物で、そこに宇宙塵を入れると、砂時計に溜る砂みたいに少しずつ月ができていくよ。」
ファンタジー
公開:20/11/22 22:03
更新:20/11/26 12:20
とってもふしぎな創作ドリル 01月を吸う

マーモット( 長野県 )

初投稿は2020/8/17。
SSGで作品を読んだり書いたり読んでもらえたりするのは幸せです。趣味はほっつき歩き&走り(ながらの妄想)。
 

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