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世界がひっくり返った。
僕は電話中で、地面がぐらり、遅れて頭の中がくららとぷんっ、と揺れて世界が半回転していた。
驚き落とした携帯は宙に伸ばした手を嘲笑うかのように足元に転がった。呆然と空を見る。蝙蝠みたいに逆さのまま携帯を拾う。変わらず引力は働いているようで空に落ちることはなさそうだ。
街の至る所で事故が起き緊急車両がのろのろと走っていった。
しかし一週間もすると慣れてくる。考えてみると何も以前と変わらない。認識を書き換えれば良い。多少時間はかかるが、それは可能だ。
以来、時々世界がひっくり返る。
ぐらりくららとぷんっ、と。
その度に四角だった地球や脳ミソの角が削れ丸くなりつつある、と最近の調べで分かった。そんな事実も角のとれた頭は難なく受け入れてしまう。
電話をしていたあの時の僕は何をそんなに拒んでいたのだろう。もう電話の内容も思い出せない。きっと小さな、なんてことないことだったんだ。
その他
公開:20/11/23 13:13

たそがれる猫の城

主にTwitterで140字小説やマイクロノベル等、短いお話をのんびりと書いています。

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