蝶 

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猫が追ってた見えない蝶を
わたしも負けじと追ってみる

そのうち、猫には見えなくなって
わたしだけが今日も追う

網を片手に伸び上がり
飽きずに部屋の天井つつく

猫はその網追っている




私が追ってた見えない蝶を
今日は窓から放してみる

思いがけない力強さで
青空ぐんぐん登って行った

慌てて身を乗り出した窓から
するりと抜けていった猫

見えない蝶を追ったか否か




猫と、追ってた見えない蝶を
わたしは今日も探してる

交差点でも、ゆめのなかでも
こんなとこにいるはずもないのに

探し歩いたある雨の日に
ふやけた箱の中を覗く

ちいさな子猫がぶるぶる震えて
わたしの胸に爪を立てた

鋭い痛みと心の音
コートに抱えて持ち帰る



庭に飛んでる蝶々めがけ
今日も子猫が威嚇する

わたしの胸はいつもズタズタ
蝶はひらひら上下する

子猫は疲れて眠ってる
その他
公開:20/11/23 12:06
更新:20/11/23 18:58

kashiku

ショートショートや、詩を思いつき次第のっけます。



noteもやってます

https://note.com/machi_kashiku

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