ロベルタの天空劇場

　ロッド州のロベルタ市は、中世の頃から「音楽のロベルタ」と言われるほど、音楽文化が盛んな場所である。
　演奏家の間では「ロベルタで演奏した者は、アルタージュ国での将来が約束されている」とまで言われている。それだけ、音楽の伝統があるところなのだ。
　このロベルタ市の名所の一つとなっているのが、市内中央の上空に浮かぶ天空劇場だ。
　これは、拝陽暦一九八七年に当時のロベルタ市長リティブ・ハゼッツの主導によって作られた歌劇場である。
　音楽の街の威信をかけたというハゼッツの言葉通り、巨大な劇場は隅々まで飛翔魔法がかけられており、金や銀で作られた音楽の女神レイア、音の神ソルヴァートの神像が玄関に建てられている様は、壮観の一言に尽きる。　
　建設からすでに五〇〇年以上が経過しているが、専門家によれば、後五〇〇年は浮遊し続けることが魔法力学上可能なのだと言う。