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かつて琵琶法師は、盲目であるが故に視覚以外の感覚に優れていたという。私たちは互いに目隠しをした。指先と指先が触れる。雨滴が葉に滴るようにゆっくりと、互いの指を絡め合う。太く無骨な指と、細く繊細な指が、生命をもっているかのようだ。指の位置を頼りに、腕、肩、鎖骨へとゆっくり指を這わせる。やがて首筋に辿り着き、顔を近付けてみる。官能的な薔薇の香りに、平衡感覚を失う。
その瞬間、私たち以外誰もいない楽園へと誘われる。
そして口中に蜂蜜を垂らし、楽園では歓迎されない蛇のように互いの舌を絡め合う。元の味ではなくなった未知の味を、時間をかけて味わい尽くす。
「ようやく二人きりになれたね」
彼女が耳元で囁く。その言葉が私を、静かに降る雨のように優しく包み込む。
私たちはアダムとイヴになった。
その瞬間、私たち以外誰もいない楽園へと誘われる。
そして口中に蜂蜜を垂らし、楽園では歓迎されない蛇のように互いの舌を絡め合う。元の味ではなくなった未知の味を、時間をかけて味わい尽くす。
「ようやく二人きりになれたね」
彼女が耳元で囁く。その言葉が私を、静かに降る雨のように優しく包み込む。
私たちはアダムとイヴになった。
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公開:20/11/21 20:09
更新:20/11/22 16:55
更新:20/11/22 16:55
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