インナー・フェイス

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二十年前にドイツの医療ベンチャーが開発した新しい整形技術は世界の耳目を瞬く間に集中させた。

身体パーツごとに特定方向の細胞分裂・アポトーシスを活性化させるというもので、インプラントなどの異物を体内に埋め込んだり切開を伴う大掛かりな手術を必要とせず、ほぼ自在な整形が可能になるという極めて画期的なものだった。

だが技術が普及し、整形が比較的廉価に行われるようになると、様々な問題が露呈した。

闇医療が横行し、犯罪者や債務者たちがほぼノーリスクで正体を隠せるようになった。

生まれてくる子供が両親ともに似ていないので、都度遺伝子検査をしなくては誰も安心できなくなった。

筋肉を整形したアスリートたちが過去の記録をあっさりと塗り替え、整形競争がさらに加速した。


同じ顔の人間が街に溢れ出したころ、人知れず変化は起きた。

目に見えないものを感ずるための力が、人々の意識の底で胎動を始めていた。
SF
公開:20/11/22 07:00
更新:20/11/21 22:16

レオニード貴海( 富んで埼玉(願望) )

小説書きたい症候群に罹患したアラサーITエンジニア兼、二児のダディ。作家志望の人、活字好きな人とゆるーく繋がりたいようなこの頃。

毎日一作目標で書いてます。
(午前7時更新)

気軽にコメントもらえると泣いて喜びます。
よろしくです。

twitter/@takamileovil

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