海辺に我ら奮い立つ

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――ああ、まるで昨日のことのように思い出せる。
 島津の軍勢は1万。かたや我らは3千がせいぜい。割腹も覚悟した我らの手元に残されたのはコレひとつ。使えば千里の先へも知らせが届き、遥かな島々から援軍が駆けつけるとの言い伝えがある伝家の逸品。わらにもすがりひと吹きすると、地鳴りのような音が鳴り響き、木々を揺らし、海を揺さぶり、空を割る。
 心は奮い立つが、しばし何の反応もない。しだいに島津も迫りくる。――やはりダメかと覚悟したその時。……それは現れた。遠く、沖縄という島の猛々しい海人の軍団が。その数20万はくだらない。我らは阿吽の呼吸をもって島津の軍勢を挟撃。そのまま休むことなく都に攻め入り、わずか2日にしてこの国を統一。翌週には月までもひとっ飛び。巣くう巨大なウサギたちを駆逐し、完膚なきまでに叩き潰してやったのだ。
 ――ん?盛りすぎではないかって?
 まぁいいだろ。ホラ貝の話なんだから。 
その他
公開:20/11/21 12:55

たけのこ

たけのこです。
諸事情によりきのこたけのこ論争には加担できません。

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