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向こう岸にいるその人は笑っていた。その人と私の間には川が流れている。川の中は透きとおり、水草は流れに合わせて気持ちよさそうに揺れている。
「そっちに行きたい。」
その人は笑顔のまま眉が下がった。
「自分が消えるほどの苦しみを味わってでも来たいの?」
段々と黒雲が空を覆い地面に打ち付ける程の雨粒が落ちてきた。降り続く雨音とともにその人の姿が見えなくなり川は濁流となった。
私は叫んだ。雨は私を叩くように濡らした。頬に伝うものが雨なのか違うものなのか、それすらもわからなかった。
雨があがり、光が差し込んだ。川の向こうにはたくさんの彼岸花があった。真っ赤な花達が足の踏み場もないくらいに一面を覆っていた。
行けない。行ってはいけない。まだ、向こうに行く時ではない。風が吹いて優しい赤色の花がささやいた。あの人の笑顔が目に浮かんで、視界がゆらゆらと澄んだ水に覆われた。
「そっちに行きたい。」
その人は笑顔のまま眉が下がった。
「自分が消えるほどの苦しみを味わってでも来たいの?」
段々と黒雲が空を覆い地面に打ち付ける程の雨粒が落ちてきた。降り続く雨音とともにその人の姿が見えなくなり川は濁流となった。
私は叫んだ。雨は私を叩くように濡らした。頬に伝うものが雨なのか違うものなのか、それすらもわからなかった。
雨があがり、光が差し込んだ。川の向こうにはたくさんの彼岸花があった。真っ赤な花達が足の踏み場もないくらいに一面を覆っていた。
行けない。行ってはいけない。まだ、向こうに行く時ではない。風が吹いて優しい赤色の花がささやいた。あの人の笑顔が目に浮かんで、視界がゆらゆらと澄んだ水に覆われた。
ファンタジー
公開:20/11/22 18:38
ショートショート初心者です。不思議な話が好きです。よろしくお願いします。
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