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「もう一度、故郷の景色が見たい」
そう話す婆ちゃんのため、僕は婆ちゃんの生まれ育った土地の映像を撮影することにした。
婆ちゃんの実家、学校、公園、亡くなった爺ちゃんとデートしたという丘、そこから見た町の景色。様々な婆ちゃんの縁の場所を撮った。
しかし時が経ち過ぎている。当時の面影はほとんど残ってなどいない。これは婆ちゃんの願う『故郷の景色』と言えるだろうか……。
「婆ちゃん、これを見て」
僕は婆ちゃんにヘッドマウントディスプレイを装着させ、VR映像を流した。
「あの頃の景色だ……」婆ちゃんが言った。
僕は苦手なパソコンを何とか編集し、婆ちゃんの当時の故郷を作りあげたのだ。
「ありがとう」
婆ちゃんの小さな声が酸素マスク越しから何度も聞こえた。そしてほとんど力の出せない指で僕の手をきゅっと優しく握った。
次の日、婆ちゃんは穏やかな顔で、爺ちゃんの元へと旅立った。
そう話す婆ちゃんのため、僕は婆ちゃんの生まれ育った土地の映像を撮影することにした。
婆ちゃんの実家、学校、公園、亡くなった爺ちゃんとデートしたという丘、そこから見た町の景色。様々な婆ちゃんの縁の場所を撮った。
しかし時が経ち過ぎている。当時の面影はほとんど残ってなどいない。これは婆ちゃんの願う『故郷の景色』と言えるだろうか……。
「婆ちゃん、これを見て」
僕は婆ちゃんにヘッドマウントディスプレイを装着させ、VR映像を流した。
「あの頃の景色だ……」婆ちゃんが言った。
僕は苦手なパソコンを何とか編集し、婆ちゃんの当時の故郷を作りあげたのだ。
「ありがとう」
婆ちゃんの小さな声が酸素マスク越しから何度も聞こえた。そしてほとんど力の出せない指で僕の手をきゅっと優しく握った。
次の日、婆ちゃんは穏やかな顔で、爺ちゃんの元へと旅立った。
その他
公開:20/11/22 10:24
更新:21/05/05 17:04
更新:21/05/05 17:04
縁
ゆかり
ヒューマンドラマ
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