幸せな夢を

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親友の葬式に行った時、彼の両親から金平糖が沢山詰まった瓶を貰った。自分が死んだら僕に渡して欲しいと頼まれたらしい。正直、嫌な感じがしたけど、そう言われたら貰うしかない。僕はその瓶を抱えて家へと戻った。
家に帰る頃には金平糖への嫌悪感は感じなくなり、寝る前に一つだけ食べてみた。するとどうだろう。とても楽しい夢をその日は見た。最近、仕事も上手く行かず、寝付きも悪かった僕は、久々にぐっすり眠れたのだ。僕はこれをくれた親友に感謝しながら、毎日毎日、寝る前に金平糖を食べるようになった。

ある日から、目覚めることが嫌になった。どんなに楽しい夢を見ても、起きれば待っているのは嫌になるような現実。起きたくない。
僕は小さな飴玉をつかみ取り、一気に頬張る。すぐに眠気が襲ってきた。
(そうだ。こんな素晴らしいもの、他の人にも教えてやらないと)

『ー昨夜未明、会社員の男性が死亡しているのが発見されました』
ホラー
公開:20/11/22 10:20

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