『縁』

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「よ! 今日もいるな! 寒くなって俺も、ここのラーメンが恋しくてよ」
(オールシーズン来てんだろ!)
「いつも同じもん食ってるぜ俺。あ。お前もか。おかげで懐の寂しいこと。お互い未だ独身。ハートも寂しいけどな」
 店に入るなりデカい声で人の個人情報まで垂れ流すこのガサツな男は断りもなく目の前に座る。
「お互い独り身で寂しいな。やっぱ、いつもラーメン屋ばっか来てたら出会い無いよな。可愛い服着て、オシャレなカフェでお茶してる子とかと知り合いたいなぁ」
「あんたさ。自分がそんな子と釣り合うと思ってんの?」
「……。お前、いつもここ来てんな。そんでいつも嬉しそうに食ってんな…」
(ダメだ。こいつ。)
財布から落とした小銭を拾おうとして2人同時に溢れた御縁玉に手をかけた。
「あ。手柔らかい。いい匂いする。…あの。今度、一緒にラーメン食べに行きませんか?」
「今、食べたばかりだろ!」
この店の名は『縁』
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公開:20/11/20 16:35
更新:20/11/20 23:40
コンテスト

NORIHISA( 碧の星 )

   創作活動はこちらのショートショートガーデンが初めてです。令和元年12月31日から投稿開始しております。
 勉強になりますので、どのようなことでもお気軽にコメントいただけると嬉しいです。厳しいご意見もお待ちしております。
 どうかよろしくお願いいたします。

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