どちらの詐欺ですか？

「もしもし」
「はい、もしもし。お宅はどちらの詐欺でしょうか？」
「いえ、詐欺ではなく市立図書館ですけれども」
「ああ、図書館の名を騙った詐欺ですか。最近そういうのもあるんですね」
「いえあのー、そちらでお借り頂いた本の期限がすでに一週間過ぎておりまして」
「出たー！借りた覚えのない本で、私に金を払わせようというタイプの詐欺ですね！」
「いえ、お金じゃなくて本を返して頂きたいんです」
「同じことじゃないですか！本を買うにもお金がかかるんですよ！」
「ホントに詐欺じゃないんです。『借りパク戦士カリタンダー』の１巻をお借りになってますよね？」
「そんな本は知りません！！」
ガチャン！
苅田（かりた）は電話を切った。
何、借りパク戦士って！…ん？
手提げバッグの中を覗くとカリタンダーの表紙が。
はわわ！
カリタンダーと目が合う。
じー…
みんなも借りたものは返そうね。
ありがとう、カリタンダー！